マニュアル化について
マニュアルという単語を聞くと、通常あまりいい印象を受けない。コンビニ店員が杓子定規な対応しかしないとか、部下が言ったことしかしないとか云々。
だが、指示を展開するひいては事業を拡大する上においてはマニュアル化は必要不可欠のようだ。
金持ち父さんシリーズではキャッシュフロークワドラントという考え方が出てくる。
これは収入つまりキャッシュフローを得る人は4種に大別出来るというもので、その4つとは
E:従業員
S:自営業者
B:ビジネスオーナー
I:投資家
である。従業員と投資家は分かりやすいが、自営業者とビジネスオーナーの区別は中々分かりづらい。
たとえ話にすると、一軒の喫茶店があったとする。マスターはSさんで彼はバイトを雇いながらも、料理も作れば、コーヒーも入れ閉店後にはその日の売り上げを集計したりもする。
さてその喫茶店を開業するにあたりSさんの自己資金では開店出来なかったのでBさんにお金を借りた。Bさんはお金を出す代わりに売り上げの数%をもらうという約束をした。またBさんはお金を出したので、店の方針に口出しも出来る。
上記の例の場合、Sさんが自営業者でBさんがビジネスオーナーになる。Sさんはお金を得るためには働き続けなくてはならず、Bさんは何もしなくてもSさんが働いて稼いだお金の数%を定期的に得ることが出来る。
Bさんは一所懸命働かないといけないので、持てるビジネスはこの喫茶店だけだが、Bさんは普段は何もしなくてもいいため、同様の方法でいくつでもビジネスを持つことが出来る。
ビジネスを所有するほどBさんのキャッシュフローは増える。
なのでお金持ちなろうとしたら自営業者ではなく、ビジネスオーナーになる必要がある。
先ほどのシチュエーションでもSさんがビジネスオーナーになる方法はある。
人に任せるのだ。
コーヒーを入れたり、食事を出したりはバイトに任せるのだ。経理は事務経験者を雇えばいいのだ。そうやって自分の仕事を他人に割り当てることが出来れば、自分は働く必要が無くなりSさんはビジネスオーナーになることが出来る。
ここで今日のタイトルのマニュアルの話につながるわけである。
ここでバイトや事務職に仕事を任せる際にどれだけ良質なマニュアルが作れるかが自営業者からビジネスオナーへの移行のカギになる。
マニュアルがないのにとりあえず雇って、あとは任せたと言っても仕事がうまく回るわけはない。1週間後どうだいなんて見に行ってみればさぞかしひどいことになっていることだろう。
ここで自営業からビジネスオーナーへの移行に対してマニュアルの大切さをよく表現出来ている映画を一つ挙げる。
それは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」である。
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価格:1,420円 |
この映画は拝金主義者のやりたい放題を見て笑ったりイラついたりする映画であるのだが、そのお金を得るまでの道筋は実は至極真っ当である。
主人公は最初普通に大手証券会社に就職したのだが、ブラックマンデーでつぶれてしまう。
仕方なしに再就職先でブローカーとして働き始めたのだが、彼は生来の口のうまさでクズ株を顧客にどんどん買わせて、次々と儲けていく。
ちなみにこのクズ株は顧客に売ると販売価格の50%が手数料として彼の懐に入る。商品としてはゴミだが収入源としては最高に利益率が高いのである。
さてこの段階ではキャッシュフロークワドラントでいうところのS、自営業者である。彼は自分がクズ株を売り続けなければその収入を維持できない。
しかし彼はそこでは終わらない。くすぶっている近所のダメ人間たちを集めて、会社を立ち上げたのである。ただこのままでは主人公以外はホントにダメ人間なので、烏合の衆、とてもクズ株を顧客に売りつけることなんて出来やしない。
ここで主人公は、どうやってクズ株を売れば良いのかOJTや対応マニュアルを作り上げた。そうすることで、主人公以外の人間もダメ人間から立派な詐欺師にジョブチェンジ。株を売るという能力については主人公と同等となり、単位時間当たりにさばける株の数が飛躍的に上昇し、遂には主人公が株を売らなくても売り上げが上がるようになっていた。
映画の中盤から主人公は社員を鼓舞するための朝礼演説はすれど、株を売るシーンは一切映らない。そんなことしなくても彼が作り上げたマニュアルで、株式ブローカーのプロフェッショナルとなった部下たちが稼いでくれるからだ。
このような道筋を辿り主人公は自営業者からビジネスオーナーに転身した。この収入を生み出したのは一つのマニュアルだけである。
会社がつぶれてもこのマニュアルさえあれば、また人を集めてブローカーを作り出し再度設けることが出来る。
人を雇うということは、単位時間当たりの作業量を飛躍的に増加させるということで、つまりは一つのレバレッジなのである。
優れたマニュアルは大金を生み出すのである。
事業拡大という大それたことを考えていない人でも、サラリーマンなら部下に仕事を任せる場面は多々あるはずである。
その際効果を十分に上げたいなら、ルーチン作業は出来るだけマニュアルに起こすことを考えていただきたい。