質問について
会話上手は話し上手より聞き上手と最近よく目にする。本のタイトルとかで。でも実際にはうんうんと相槌を打っているだけではダメだと思う。
少なくとも、こっちが話をしているときに相槌しか打たないやつを目の当たりにしたときの私の感想は「こいつ話聞いてないな」とか「こいつ分かってないな」とか「こいつつまらん奴やな」である。
それでは、話し上手が会話上手か。と言われたら無論違うと考える。
自分の話しかしないやつを相手にしていると聞いているこっちは疲れる。受け止めるだけでは疲れてしまう。
それでは何某上手が会話上手か。
聞き上手というより、質問上手であると私は考える。
会話や議論が盛り上がるときというのは、話した内容に対して応答がある場合である。そして一番盛り上がるというか話している側が一番喜ぶのは当を得た質問が返ってきた場合である。
話して側としては良い質問をされた場合、池上さんでなくとも「いい質問ですね」と言いたいもんである。
しかしこれが中々難しい。
授業やお客さんとの会話とかで良い質問が出来るかと言われたら、その難しさにリアリティが帯びてくるだろう。
そもそもなぜ難しいのか。
私としては会話の根っこが分かっていないからだと考える。
会話というより、問いかけというのは数字だけでなく、言葉によるものもすべて方程式のようなものだと思っている。
例えば
同じ家にAさんとBさんがいる。Aさんが先に家を出て時速4kmでスーパーに行く。
30分後にBさんがAさんが忘れ物をしていたので追いかける。
問1.Aさんがスーパーにつくのは何分後か?
問2.BさんはAさんがスーパーに追いつけるか。そして追いつく場合何分後か?
という小学校的な問題があったとする。
一応分かっていただけると思うが、この情報ではこの問題は解けない。
そこで問いかけた側に質問を投げる必要がある。
問1に関しては家とスーパーの距離だ。
問2に関してはBさんが追いかける時速だ。
これらは問の前の前提条件を理解していなけらば出来ない質問である。そしてこの場合での理解というのは
X[km] / 4[km/h] ×60[min/h]=V[min]
Y[km/h]×Z[h]=4[km/h]×(Z+0.5)[h]
(ちなみにX[km]はスーパーまでの距離、V[min]はスーパーまでにかかる時間、Y[km/h]はBさんの時速、Z[h]は追いつくまでの時間である。)
のような式を組み立てられるかということである。
つまり、
①前提条件を聞き
②情報を組み立てて
③答えを導き出す方程式を構築し
④抜けている情報を整理して
⑤抜けている情報を質問する
といったプロセスを経てBさんの時速だのスーパーまでの距離だのを質問するに至る。
質問するということは一事が万事この作業なのではないかと私は思っている。つまり質問下手な人はこの②~④が出来ていないからうまく質問が出来ないのだ。
例えば家から出るまでに掛かる時間はとか聞いてしまうのだ。
こう見てみるとそんな馬鹿なと思われるかもしれないが、こういう意味不明な質問をしてくる人はかなりいる。
また、子供が問題に悩んでいるときに「何が分からないの」という質問を投げる人がいるが、これも結構酷な問いかけである。こういったときに答える子供の「何が分からないのか分からない」というのは実際にその通りで、結局②~④のプロセスが出来ておらず(おそらくは特に③)、それぞの数値がバラバラなのである。
この手のスキルを上げるには実際には訓練しかない。訓練というのは、もう自分の手で図示させるsかない。これは先ほどの問題以外、仕事上の問題も同様である。分からなことがあれば要因を書き出してつながりを一つずつ分析するのが一番である。
普段から以上を意識して、分からない場合は図示したり、手を動かして関係性を整理すると、方程式が見えてきて、どの情報が足りないのか、必要なのかが見えてくる。
以上が私が考える質問というものの本質である。