ガイア理論について その3
前回からの続きです。
ガイア理論は地球の環境維持システムについてであり、「ガイアの逆襲」は環境問題を取り上げているというところ、そしてその環境問題についてはテレビでは取り上げられないような事柄を綴っていることを前回紹介したが、今回は更に他のメディアでは絶対に言えないような内容を紹介したいと思う。
最も適切なエネルギー源は核である。
かなり刺激的な内容である。環境問題を扱っているものでこのような主張しているものは他にないのではないだろうか。
しかもラブロックは風力エネルギー、バイオマスエネルギーという一般的に環境にやさしいとされているエネルギー源を強く否定している。
その考えの根底には単位敷地面積あたりのエネルギー量というものがある。
そもそも、ガイアの維持機能を維持するためには森林、氷河、芳醇な栄養を含んだ海洋が不可欠だ。森林や海の微生物に温室効果ガスを処理してもらい、氷河や雲に太陽光線を反射してもらう必要があるからだ。
つまり、人間の手にかからない自然の面積を増やすことがガイアの維持につながる。
となると、出来るだけ少ない面積でエネルギーを作り出す必要が生じる。そんな中、温室効果ガスを出さずに最も高いエネルギーを取り出すことが出来る技術は核分裂反応を利用した原子炉ということになる。しかも原子炉だけの運用で全人類の電気を賄える。
対してバイオマスエネルギーや風力発電はまだそれ単独では人類を支えることは到底出来ないにも関わらず、地球の面積を使いすぎる。風力発電は巨大な風車が何基も併設されており、観たことがある人は分かるだろうが設置されているところは一面風車だらけである。
また面積だけでなく風車による気流の乱れも地球に悪影響を与えるのではと彼は危惧している(それがどのような影響を与えるのかそれがどれだけ深刻なのかは私には読み取れなかったが)。
次にバイオマスエネルギーだがこれは原料はとうもろこしだったりする。それを育てるためには巨大な農場が必要になる。
辺り一帯自然で結構じゃないかと思われたかもしれないが、人工的な畑はガイアの維持機能にほとんど寄与しないようだ。
ただでさえ人間の食生活を支えるために多くの敷地面積が畑や農場に費やされているのに!更に!それだけでは到底人類を支えられないエネルギー源のために!他の代替源があるにも関わらず!それでもバイオマスエネルギーが良いと言えるのか!?とラブロックは主張している。
この辺りは言葉静かながら彼のバカヤローという声が聞こえるようだった。
学生だったころの私が所属していた研究室(電池に関して研究している)の教授が
「バイオマス燃料なんて、自分の足を切って腹を満たすようなもんだ」
と言っていた。とても印象に残っている。エネルギーについて考えている人にはやはり思うところがあるようだ。
さて巷で言われている地球にやさしいエネルギーがそれほど地球にやさしくないかもしれないことは分かったと思うが、では核分裂エネルギーは良いのか?というところが多分最も気になることだと思う。
これに対してのラブロックの見解は「たいしたことない」である。
そもそも、核廃棄物は埋めることでその影響を外部に与えずに廃棄出来る。これがデカい。火力発電やバイオマス燃料の廃棄物は二酸化炭素である。これは地球にダメージを与える上に、気体だから拡散させずに人間の手で処分することが出来ない。
核廃棄物は個体や液体であるために取り扱いを誤らなければ原理上拡散させず処理できる。ハンドリングが非常に容易なのだ。
また放射能の被害であるが、確かに悪影響はあるのだが実は我々が思っている以上には猛威を振るっていない。
かの有名なチェルノブイリの原発事故だが当初何万人という人間が犠牲になったと言われていたが実のところ50~60名が関の山らしい。その中の9割は事故現場での救助隊員が被ばくした結果だそうだ。残りの1割は汚染された草を家畜が食べて放射能が凝縮されたものを誤って食べたからだそうだ。
確かに放射能による犠牲者は0ではないが、そもそもエネルギー炉で事故が起きたら原子炉でなくとも大惨事は起こる。原子炉だから特別被害がデカいという訳ではないのだ。
ラブロックがここで特に主張したいのが、「核に対してヒステリーになりすぎ」ということである。よく核のせいで死の大地になんてSFでよく扱われるネタがあるが、死の大地などにはならない。
それこそチェルノブイリがいい例である。
確かにあそこは厳重な管理体制が敷かれ住民はいないが代わりこれ幸いと野生動物たちが跋扈している。先月たまたま昼にチェルノブイリに潜入する特番をやっていたが、それはもう野生の馬などがかっぽらかっぽらしていた。様々な野生動物が逃れてきて独自の生態系を築いているのだそうだ。
あそこに住めないのは人間だけである。
日本人は核とは別に似たようなヒステリーを起こしたことがある。
公害問題である。
これは一般的には流出した金属成分が原因と言われているが実は根拠がないらしい。ただそう思われる。マスコミが掻き立てる。水銀水銀、カドミウムカドミウム。挙句の果てにはただの金属カドミウムを持ち出した職員に対して記者が「それ本当に大丈夫なんですか」と問う始末だったらしい。イオンと金属の別も分かっていないのだ。
話が少し逸れてしまったがつまり、一度恐怖のイメージがつくと碌に調べもせず否定的になるということがいけないとラブロックは言っている。
群衆の思い込みというものの力は本当にすさまじい。戦争も学生運動もその起電力にはこの思い込み、空気みたいなものがあった。付和雷同、赤信号一緒に渡らないお前死ねである。
今度はそれが民族だけでなく、地球も滅ぼそうとしている。
そうならないために、せめて自分で調べて、考える癖をつけたいものである。