ガイア理論について その2

前回の続きです。

 

今回はこの「ガイアの復讐」について面白かったところをピックアップしてみたいと思う。

 

なぜ我々は排尿するのか

いきなりなんやねんって感じだが、これは我々生命がガイアの維持機能に関与しているかもしれないことを示唆させる重要な問いである。

尿の主成分は尿素と水である。尿素は化学式で書くと、NH2CONH2となる。Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素、Hは水素の原子を指す。酸素で活動する生物は基本的には呼吸でCO2(二酸化炭素)を排出する。HとOはH2O(水)の構成要素である。何が言いたいかというと尿によって特別排出される元素はNつまり窒素ということになる。

そこでラブロックはなぜN2(窒素)の形で排出しないのかという点に着目している。

尿素はそれを構成する原子の単純な形である窒素や二酸化炭素よりも構成する上で大きなエネルギーを必要とする。そして尿素を水に溶解させた状態で排出する。

つまり単純に窒素を気体として排出するよりも大きなエネルギーそして貴重な水分を無駄に捨てていることになる。

懐疑的な生化学者は尿素は酸化させる(つまり窒素にする過程で)と有毒物質になるから尿素そのままの形で排出せざるを得ないのだというであろうが、そのような答えに関してラブロックは「窒素化合物(尿素のようにNを含んだ化学物質のこと)を分解するバクテリアにもそう言ってください」と答える。

バクテリアと人間等の動物は全然違うだろという人もいるだろうが、そもそも地上の動物が元は猛毒である酸素を利用出来るようになったのだってミトコンドリアと共生するようになったことを考えると、必要とあれば進化の過程でそのバクテリアを取り込むことで呼吸時に二酸化炭素だけでなく窒素も排出することが出来るようになったはずだと考えることは何も不自然なことではない。

ではなぜ尿というシステムを採用したか?

それは植物に窒素と水を与えるためだとラブロックは考えている。

そもそも窒素は植物の成長に欠かすことのできない元素のひとつである。市販の肥料も窒素化合物を与えることを目的としている。気体は空気中に拡散しているため摂取は難しいし何より窒素は分解するのに酸素とは比べ物にならないくらい大きなエネルギーを必要とする。自然界で窒素化合物が生成されるには雷が必要とされる。雷の大きなエネルギーで空気中の窒素、二酸化炭素、酸素等が分解されそれが雨に溶け込むことで土壌に供給される。という話をどこかで聞いた。それだけ大きなエネルギーが必要なのだ。

それが尿という形をとることで、高濃度でかつ、既に分解された窒素源が水分とともに供給される。これは生命がガイアの維持機能に参加している一例であると紹介している。

 

氷が解けて困るのは水位が上がるからだけではない。

よく南極の氷が解けると島が沈むから温暖化はマズいという話を聞くがどうもそれだけではないらしい。

まず、海の温度が上がるのがそもそもよくないらしい。

水というのは暖かい方が上の層にいきやすいのは皆さんおそらくご存じだろう。温暖化によって海の温度が上がると海の表面が暖かくなるからいろんな微生物が寄ってくる。そして微生物がその暖かい層の栄養素だけ食い尽くされると、微生物は去るか死ぬかして姿を消す。問題はここからで暖かい水は原則下層にはいかないからいつまでたっても海の表面には栄養が行かない。だから微生物が来ない。海の表面に微生物が来ないと光が届かないから光合成が行われず二酸化炭素の消費量が減る。それだけでなく、海中に新たな栄養素も供給されない(光合成は光をエネルギーに二酸化炭素を原料とすることで酸素と有機物を生成するプロセスである)。また海中の生物は雲凝結核という微粒子を排出するらしいが、実はこれが核となって初めて雲が出来る。つまり

二酸化炭素は減らず温室効果更に上昇、栄養が更に減って微生物が繁殖しない、雲が発生せずに雨で地球を冷やしたり雲の白色で光を反射出来ず熱くなる(後述)。

といったスパイラルに陥りどんどん地球の温暖化が進む。

海だけではない。

南極の氷が解けることで確かに水位が上昇するが実は別のところにも問題がある。それは大地が露出することだ。

氷そして雲の色である「白」というのは温暖化問題に関して非常に重要である。白色は光を反射する。つまり雲で覆われているところ、氷で覆われているところが多いとそれだけ「太陽光線」が反射され温度が上がらない。つまり地球に白い部分が多いとそれだけで冷却効果が高くなるという事になる。逆に氷が解けたり先述のように海の微生物不足で雲が発生しなくなると、大地の黒や海の暗い色が多くなると光を吸収し温室効果が増すことになる。

このようなプロセスを経ることで地球の温度は際限なく上昇すると遂には生物が住めなくなる(ちなみに太陽の温度も年々上昇していっているらしい)。

 

今回はこれで終わりにします。次回で最後にしたいです。

 

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