ガイア理論について

ガイア理論もしくはガイア仮説という単語を初めて知ったのは、昔サンデーで連載していた「ARMS」だった。

その時は確か劇中では地球というのは一つの生命体でARMS(劇中に登場するシリコン生命体)を介してコンタクトを取ることで、世界を支配する的なことを言っていた気がする。

この地球が一つの生命体というくだりのバックボーンとしてジェームズラブロックのガイア仮説を持ち出していた。

この漫画はSF的リアリティを出すために実際にある理論なり、現象なりを引用する(反物質というのもこの漫画で知った)ので当時中坊だった私としてはそういうのも込みで非常に楽しんでいた。

ただこのガイア仮説という地球が一つの生命体であるという仮説に関してはかなりインチキくさい香りを感じていたので、きっとトンデモ説なんだろうなとも思った。故にある意味非常に印象に残っていた。

しかしそれから数年後、次は攻殻機動隊(stand alone complex?)のテレビシリーズで確かタチコマが会話シーンだったかで、ミクロとマクロの視点から生命体に関して語っている科学者の代表格としてミクロはリチャードドーキンス、マクロはジェームズラブロックの名前を出していた。

攻殻機動隊はかなりゴリゴリのハードSFであり、とてもトンデモ論を取り上げることはしないだろうと思ったのでその時に「地球が生命体」という理論を真面目に取り上げるとどういう話になるのだろうと大分興味が出てきていた。

以上のようなきっかけで「ガイアの逆襲」を手に取った訳である。

 

感想としてはかなり面白かったし、ガイア理論は読んでいる限りトンデモ説ではないと思った。

 

まず、言わねばならぬのは地球が生命体と言ってはいるが意思を持っているとは言っていない。そして生命体というのもどちらかと言えばある目的のために比喩的に表現してるということだ。

 

そもそもガイア理論とは地球は一つの環境維持システムであり、そのシステムの中には岩石、海、雲等の所謂自然物だけではなく、藻類から哺乳類までも含めた生命体も維持機構の中に含まているという理論である。

生命体は地球から一方的に生きる環境を与えられているのではなく、我々の代謝機能も地球の環境維持に大きく貢献しているというわけである。

 

この生命体が環境維持を一方的に享受しているのではなく、相互的に関与しているという点に関して当初はかなり批判を受けたらしい。なぜならそれまでの生命の進化はただ自己の遺伝子を残すためだけの最適化であり、自然環境に配慮なんかしていないというのが定説だったからだ。

こうした理由で先に挙げたリチャードドーキンスは敵対勢力の最右翼だったらしい(ただしこの批判を解消する過程でガイア仮説はガイア理論と呼べるようになるまで理論的に強固になったから感謝感謝と述べていた当たりこのジェームズラブロックという人も大概ドMである)。ちなみにリチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」もかなり面白い本であるので一読願う。

 

さてここからが本題なのだがこのガイアの逆襲という本はガイア理論とはこういうものだよと単に述べたものではない。これは環境問題の本であり、思い込みというものがいかに恐ろしいかを述べたものであり、そしてものの考え方に新しい(というより東洋的な)視点を示唆するものでもある。

つまりこの一冊で複数のテーマを相互に絡ませながらしかも分かりやすく書いてるというかなり恐ろしい本なのだ。

次回以降はもうすこしこの内容を掘り下げて書いていくつもりだが、この本を書いたのが90台前後ってんだからこの「ジェームズラブロック」なるじいちゃん、おそるべしである。

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